第1編 物質の状態

第4章 溶液

1溶解とそのしくみ 2溶解度

3希薄溶液のしくみ

4コロイド溶液

 

 溶解とそのしくみ

【溶解】

液体(溶媒)が他の物質(溶質)を溶かして均一な混合物になる現象を溶解という。溶媒には,水やエタノールのような極性分子からなる極性溶媒とベンゼンやジエチルエーテルのような無極性分子からなる無極性溶媒に分けられる。極性分子は極性溶媒に,無極性分子は無極性溶媒によく溶ける

塩化ナトリウムNaClのように溶液中でイオン(NaCl)に分かれる(電離する)溶質を〔 電解質 〕という。NaClHClなどの完全に電離する強電解質と,酢酸CH3COOHのように一部しか電離しない弱電解質がある。またグルコース(ブドウ糖)のように電離しない溶質を〔 非電解質 〕という。

 

【イオン結晶の水への溶解】

イオン結晶性の物質は,溶液中では陽イオンと陰イオンに電離する。これらのイオンは極性分子である水分子と静電気力によって緩やかに結合する(左下)。そのため,イオン結合性のものは水に溶けるものが多い。このように,水分子が結合することを〔 水和 〕という。また水和しているイオンを水和イオンという。イオン結晶性の物質は無極性溶媒にはほとんど溶解しない。

 
   

【分子性物質の溶解】

エタノールC2H5OH分子などの極性分子は,非電解質であるが,極性の大きなOHがあるため(右上),水分子と〔 水素結合 〕で結びつくので水に溶けやすい。また,HClなどの電離する分子は電離して,そのとき生じたイオンは水和イオンとなる。